竹内理論は是か非か その3

竹内理論では、心不全の人への水分ケアへの注意などは喚起されてますが、片麻痺の人のリスクについての説明・注意喚起が足りないように思えます。 竹内理論での排泄ケアでは、下剤を止めることを至上命題のようにしてますが、片麻痺の場合、踏ん張るのも半分、骨盤底筋群も半分なので、機能性便秘になりがちです。 実際に介護・看護の現場にいる人だったら、片麻痺の人のほとんどが便秘症であることは実感できると思います。 ここをリハビリで鍛えて回復させると言っても限界があるように思えます。ましてやPTが常駐してることが少ない特養では無理です。 最近では、慢性腎不全と便秘の関連性が腎臓内科医ではエビデンスとして確立しつつあります。 便秘になる>腸管内圧が上がり、腸管に炎症が起こる>露出した毛細血管から、本来は便として排泄されるべきカリウムなどが再吸収されてしまう>腎臓に負荷がかかる。 この繰り返しで、慢性腎不全に陥ってしまうので、腎不全の治療の第一歩として緩下剤の投与から始めることがあります。 片麻痺で糖尿病であるとか、腎不全リスクが高いなら、緩下剤は必要かと思われますが、竹内理論では下剤=悪なので、排便マイナス7日くらいまで溜めまくった末に、テレミンやピコスルファートなどの強い下剤や摘便などで無理やりに出すことになります。刺激性下剤の使用も摘便も腸管内の炎症を発生させ、結果、腎臓への負担を増やしてしまいます。 多分、これを読んだ現場の人なら、片麻痺で尿路バルーンカテーテルを入れている患者さんで、カテーテルがしょっちゅう結晶物で詰まる患者さんとかが浮かんだのではないでしょうか。 ちゃんと栄養管理された病院内・施設内の食事しか摂ってないはずなのに、異常なまでの結晶物の多さには、このような理由があるのではないでしょうか。 また、竹内理論では運動=歩行器による歩行なので、3人介助で歩行器にぶら下げての拷問のような歩行訓練をすることも珍しくないのですが、ここでも片麻痺への注意喚起なされてません。 片麻痺の人の歩行は、4点杖を使った3動作ないし2動作歩行が基本です。 杖を前に出す>重心を健側前方に>患側の足が浮いて降り出すように前にでる>健側の足を出す これが3動作歩行です。 介助者は患側後方に立ち、足折れでの転倒に備えます。 こんなことくらいヘルパー2級の講義で習う当たり前のことなのですが、科学的介護などという宗教に入信してしまうと見えなくなってしまい、片麻痺の人を歩行器で歩行訓練させようなんて、無茶なことをやってしまいます。実際、おいらの施設でもありました。 どこが無茶なのかは、どこを介助すべきかを考えればわかると思います。 まずは足折れで患側後方。 足折れで歩行器にしがみついた場合、患側前方にも暴走してしまう可能性もある。 さらに患側の足を振り出すために健側前方への重心移動を覚えていただくためには、そっちにも介助者が必要になる。 結局、3人の介助者が必要になるわけです。 この科学的介護に取り組んでる施設だったら、サドル付歩行器を使っているところも多いと思います。 サドル付きなら介助は一人で済むように思うかもしれませんが、体重移動ができないので、患側の足を延々と持ち上げて動かす人が必要になるので、最低2名は必要になります。しかも体重移動を覚えられないので、実際の歩行には何の役にも立たない歩いた気分になれるだけの訓練です。 こんな注意喚起を全くしないで、宿題と称して実践例の提出ばかりを求める姿勢が、化学的介護の問題なのです。

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